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臨也は赤い服を身に纏いながら恍惚とした笑みで新羅を見つめる。驚くべき事に新羅が世の中でもっとも愛している女性も同じ格好をしている。新羅はああちょっと待って、と動揺する自分を落ち着かせる為に机に向かった。必然的に足はガタガタと揺れそれほど向かえなかった訳だが。
三角関係と言われれば三角関係になるだろうが、そもそも自分はセルティだけを愛している。しかしそれを言っても言ってもSOWHATと来たものだからどうにか出来る術もないし、あの高校時代荒れに荒れまくっていた問題児を抑えられるよな力も持ち合わせていない。新羅は頭を抱えながら先程驚愕に見開いた二人を眺める。セルティはサンタクロースの象徴である赤と、一つ違うのはミニスカートくらいだろうか。セルティだけなら歓喜に酔いしれていただろうが、細みとは言え体格が男である臨也にミニスカートを着られてもああすね毛剃ったんだね、というぐらいだ。似合ってない訳ではないが、どうしてもこの空間は可笑し過ぎる。「せせせ、セルティ。僕何かやったっけ!?」『大丈夫だぞ新羅。今日は私達が持て成してやる』新羅はその言葉で今日が何の日か思い出した。クリスマス・イブの前だ。しかしそんな日がどうしたというのだと思い振り返ると二人が迫ってくる。『新羅。クリスマスは私とだよな?』「新羅ぁ、俺とクリスマス過ごすよね?」ああどういう事だ。新羅はそろそろ思考回路が回らなくなってきて、賢い頭をフル起動させて二人の言葉を思い出す。「あー・・・もしかして、イブを一緒に過ごしたら負けだと思ってるの?」「だって前夜祭だし」臨也の言葉にセルティは頷き新羅の返答を待った。新羅の答えは一つだったがそれでは臨也が可哀想過ぎる。
「両方無しで」
そういうと数秒間沈黙が続き、硬直した二人を見て新羅はこれまた罪悪感が生まれて来た。自分なりの謙虚な言い方だと思い泣く泣くセルティとのラブラブクリスマス計画は潰れた訳だが、想いを寄せられる身としては臨也をどうこう出来る勇気も持っていない。今だ硬直しているセルティと臨也と潔くクリスマスの予定を立てている新羅の空間は、酷く重苦しい。
クリスマスの片道切符
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