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臨新 大学生


夏。蝉が五月蠅いほどに泣く季節に、むさ苦しい男四人組が冷房さえないその寮部屋で唸りを上げていた。夏だというのにクーラーと言う癒しが無い場所に、扇風機を一台付けて窓を開けている。しかし窓を開けても暑い気候と言うのは変わらないもので、タンクトップ姿の臨也がが扇風機に凭れかかる。現在独占状態であるが特に誰も気にせず、額から汗を流している他三人は手元の温くなった水が潤いだと言わんばかりに水を消費していた。寮部屋の中央に小さな机があり、半袖短パンの新羅が机に顔だけ置いている。向かいの静雄はベッドの上でうちわを仰いでいて、門田はこの暑さの中読書を楽しんでいた。その中、新羅が白いシャツを仰ぎながら「あづいぃぃ」とうめき声の様な音を出した。扇風機を独占している臨也が「新羅も扇風機使う?」と聞くと新羅はぐるんと臨也の方を向いて溜息を吐く。「ヤダ。吹いてる風邪すら温かいじゃない」そうして水を飲み込んだ。うちわを仰いでいる静雄は腕に汗を滲ませ「つか暑い暑いるせえんだよ。ちと黙れ暑ぃから」「静雄も暑いって言ってるじゃん」「るせぇな」と、暑さで苛立ちも醸し出している。それこもこれも、皆で夏休みの課題をしようぜと言いだした臨也に問題があった。

臨也は夏休みの、全専攻共通課題をやろうぜと誘った。もちろん成績が優秀な臨也と新羅が着いて来ると言うだけで頭があんまりよろしくない静雄は頷き、自分の専攻の課題が多い門田は少しでも共通課題を終わらせようと了承した。この時臨也は門田の部屋が「クーラーがついている」と思い込み、現在の暑さの所為で手つかずの課題が無造作に机に置かれている状態だ。

「あああ暑いぃぃ、・・・・コンビニ行かない?」「そこまで行くのがだるいよね」「つかコンビニ行かなくても涼しい所あんだろ」「というかコンビニに長居してどうすんだよ迷惑だろ」と四人は言葉を言うだけ言って夏の暑さを恨めしく思う。その時、静雄が小首を傾げながら「なあ、なんで手前等の家は駄目なんだ?」と尋ねると臨也と新羅は互いの顔を見て「あー、今年の冬にぶっ壊れてさぁ」「もうね、あれは酷い事故だったよ・・・・」と悲しそうに目を伏せた。静雄は汗だくのままベッドに倒れ込む。「俺達まじエコしてんねえ」「エコロジーだねぇ」そう暑さで壊れかけている三人に「つかよぉ」先程まで読書を楽しんでいる門田が髪を掻き上げながら言葉を発した。

「・・・・・、ロビー行って勉強すればいいんじゃね」



寮のロビーは冷房が冷え冷えとしており、机も各場所に用意されている。臨也は目を輝かせながら一番冷房が当たるであろう机に座りこんだ。他三人も次々と椅子に座り先程から全く手を付けれていない課題を広げ、机と課題に睨み合う用意をした。流石に頭脳明晰な臨也と新羅はさらさらと問題を解いていく。少々詰まりながらも問題を解いていく門田に対し、静雄はまったく手を付けれていない。

「シズちゃん、やらないとやばいんじゃない?」「分かんねえんだよ」「というか静雄、君ノートあんなに綺麗に写してるになんで分からないのさ」「分かるもなにもあれ自分で写してんじゃねえし」「・・・・・静雄、お前誰に写してもらってんだ?」「いや、なんか女子が俺の机に置いてってくれる」「うわあなんて健気」「付き合っちゃいなyo」「ざけんななんで俺が」「というか君達さ僕等とよくつるんでるけどさ、女と付き合いたいとかないの?」「俺はねえな。だるい」「俺もないな。就職してから恋愛をしたい」「京平カッコイイ・・・」「えっ!?俺が就職してから恋愛したいとかいっても何もならないのに!?」「君はほら、軽いからさ。僕と付き合うまで女の子行ったり来たりしてたでしょ」「でも今は一番だよ」「いざや・・・」「なあなあ俺等は何時まで耳塞げばいいんだよああ!?」

そんな感じで会話を広げ、ようやく全員が半分以下が終わった時にはもう星は燦々と輝いていた。

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