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臨新 大学生


快晴が広がる雲一つない空に浮かぶ太陽の、燦々とした光を浴びながら睡眠をとっている臨也の上に子供の体重が圧し掛かった。「へぐっ」と奇妙な声が響きながら思わぬ衝撃と共に、臨也は急速に目覚めへと辿り着いた。

腹をさすりながら子供に手を引かれてリビングに行く臨也は、覚醒していない頭で物事を整理していた。子供の姿など昨日まではまったくと言っていいほど無かったというのに。リビングに連れて来られた臨也はソファで寛ぐ新羅を見て、小首を傾げた。「あっ起こしてくれたんだね」「なあ」「ん?どうしたの臨也?」「それって俺等の子?」純粋な臨也の問いに新羅はソファクッションを投げて「違うよ。親戚の子。ちょっとの間預かってくれないかって」「理由は」「聞かせてくれなかったの。あ、自己紹介出来る?」新羅の問いに子供は大きく頷いて「おれろくじょうちかげ5さい!」「・・・だそうです」臨也は子供を見ながら頷いて「俺は折原臨也。よろしくね」と笑った。「つか新羅、大学行ってる時どうすんのさ」「連れて行くよ」「まじで」


「うわー!・・・うわ、う、わぁぁぁ!」門田は首を素早く振りながら、新羅の腕に抱かれている子供を見て悲痛の声を上げた。とうとう出来たかと言わんばかりの形相で三人を見た門田の顔は青ざめている。「な、え、おま、え?」「あはは、動揺しているドタチン初めて見た。大丈夫、俺等の子じゃないから」「当たり前だ!」「ろくじょうちかげ5さいです!」そう言った千景の頭を門田は撫でて「教授には言ったのか?」「ううんまだ」「講義始まるぞ」「うん。だから臨也の足が滅茶苦茶揺れてるだろ?」今すぐにでも飛び出して行きたいのか臨也は足を震わせていた。

「うわ・・・」静雄は嫌そうな顔をしながら新羅と臨也を交互に見て最後に子供を見た。「手前等ガキまで出来る様になったのかよ」「そうだといいよね」「まあ無理だけどね」「出来たらすげえよ。・・お前、名前は?」静雄は門田同様千景の頭を撫でながら言うと千景は周りにぱあと花を輝かせ「ろくじょうちかげ5さい!」と言った。静雄は優しそうに微笑みながら乱暴にぐしゃぐしゃと頭を撫でる。「うわ、うわあ。シズちゃんが優し過ぎる・・・うわ、うわー!」「んだとゴラァ」


「しんら」「んーどうしたの」「しんらってどーしていざやといつもいっしょなの」「それはねえ、僕が臨也を好きだからさ」と一連の話をしていると後ろから「新羅ぁぁぁぁあ」と豪快に新羅に飛びついた。「うわ近寄らないで放せ馬鹿!」そんな騒ぎを聞きながら、千景は新羅の膝で無邪気に笑っていた。



一週間が経過し、千景の親が向かいに来たらしく深々と頭を下げていた。新羅は玄関前で千景を撫でると「寂しくなるねぇ」と笑う。すると千景は大きな目に涙を溜めて「さびしい」と俯いた。新羅は困ったように笑いながらまだ買い物から帰ってきてない臨也を待っているが、親が痺れを切らしたのかもう帰りますと言っていた直後、ぜえぜえと息を切らしながら袋を手にしている臨也が千景の前まで行き、ハットのような形の帽子を取り出して「これが似合う男になったら一人前さ」と言い、五歳の千景にしては大き過ぎるその帽子を千景は握り締め来た時と変わらぬ笑顔で「にあってみせる!」と歯を見せて笑った。


「寂しくなるねー」見送りながら先程新羅が言った事を言う臨也に笑って「そうだね。まあ子供が出来たみたいで嬉しかったよ」と鼻をすんと鳴らした。「え?」と尋ねる臨也に新羅は自分の言った事を理解したのか顔を赤くして「前言撤回!」と言いながら家に入って行き臨也は緩む顔を必死に抑えながら、新羅を追うように入って行く。とある日の午後四時過ぎの、出来事であった。

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