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臨也は手に袋を持ちながら真剣な表情で、「明日大学休みだから飲み明かそう」と歯を見せて笑った。
臨也の家は大学から近くにあり度々三人は訪れるが、今日は臨也からの提案で三人は頷き自分達の課題をやっている。もう夜は深けて来ており雲に隠れた月が僅かに見えるような時間帯である。静雄と門田は寮生なので一人暮らしである臨也と新羅はどちらかの部屋によく居座り、寮が空いている限界の時間まで居ては怒られ帰っている。一人暮らしと言えど臨也と新羅の家は近く二件家を跨いだらすぐに着く様な位置にあり、またしてもどちらかの家に泊まって居る為互いの家には互いの荷物が置いてある。前に門田から「もう同棲すればいいだろ」と言う言葉で、新羅は懸命にアパートの解約をしようと親に相談している真っ最中だ。そして今日、晴れてアパートを解約し臨也の家に同棲する事が決まった。その記念として臨也は明日飲み明かそうと静雄の両部屋で言い放ったのだ。「さっきから手に持ってる袋なんだ」静雄は先程ジュースを買いに行った臨也が持っている大きな袋を見て小首を傾げる。臨也はやっと来たかと言わんばかりに含み笑いをしながら「地サイダーとそこの酒屋で買った酒達」「おっ、どんなの買ったの?」新羅は臨也が持っている袋に手を掛けようとした時、結構重い袋を横にずらし「明日のお楽しみ~」と笑った。
「というか、よくおじさんは了承してくれたよね」「まあ、その同棲する相手が大学まで一緒に居た幼馴染だからね」「あ、そっか。・・・・まだ俺等が交際している事行ってなかったよね?」「うん」二人は部屋の片づけをしながら、太陽が燦々と照らす部屋の中で、模様替えをしていた。互いの家に泊まるのと同棲するのでは遥かに違う為、新羅は家から持ってきた必要最低限な荷物を入れこんでいる途中で合った。「あ、臨也もうちょっと右」「え、タンス移動させなきゃいけない訳?」「いいから早く」新羅の要求に臨也は細身の体でタンスを横にずらした。「寝る所ってベッド?」「え、僕ベッドまで持ってきてないよ」「・・・・布団ないけど」「・・・」「ベッド注文するから来るまで一緒に寝るか」静かに新羅は頷くと、家から持ってきた小物を部屋の隅に置いた。臨也の住むマンションは異常に広い為使っていなかった部屋を新羅の部屋とし、寝室は別にある小さめの部屋に移動させた。「あ、新羅、ここにある君の荷物移動させて」「分かったー」と何度か同じ遣り取りをしながら、一段落ついたのは皆が揃う一時間前だった。
軽快なインターホンが鳴り響き、門田と静雄が手元にスナックや摘まみやらと持ってきて臨也は「流石」と零した。門田か静雄が買ってくると踏んでいたので買って来なくてよかったという安堵を零しながら、リビングに案内した。夕食を作っていたのでまず四人で夕食を食べ、臨也の部屋でゲーム等をしてから時計は21時を指しており臨也はそろそろかと腰を上げる。新羅も理解したのか一緒に居間に向かっていく二人を見て門田ト静雄は「熟年夫婦だな」「幼馴染つーのってあんなのなのか」と会話をした。
深夜に突入して四人は泥酔の様にテンションを上げていた。余り強い方ではない静雄はぐらんぐらんと回る視界に頭を抱えている中、臨也が「次の酒は~、魔王!」袋から開けられていない瓶を出すと酒豪である新羅が「魔王!」と相槌を打つ。「しかも芋焼酎」そう言うとグラスにビールを注いでいた門田が「芋焼酎嫌いなんでパス」と顔を横に振ると顔の赤くした臨也が「ばっ、嫌いとか言わないでよ!」鼻息荒く声を荒げた。新羅は袋に入ってある魔王同様日本酒の袋からもう一本出した。「おー!閻魔大王!」「でたー!」「騒ぐなうるせぇ」「静雄、水飲め水」大きめの机には日本酒と洋酒が並べられている。味には困らないが非常に本数が多い為、スナックや摘まみが床に置かれている状態だ。「水飲んでくる」静雄が席を立つと下からぐしゃという音がして下を見ると、開封前のスルメがあった。静雄は気にせず進むと酔っている臨也が「ohぺちゃんこ」「ohスルメ・・・」等と笑いをこらえながら言うとそれにつられて新羅と門田も笑い、水を飲んだであろう静雄が「いやお前らうるせえわ」と頭を抱えながら来ると「ohシズちゃん・・・」と言う言葉で新羅は笑い崩れ過呼吸繰り返した。静雄はいつか隣人から苦情が来るのではないかとハラハラしながら、先程居た席に着く。
午後三時前になると等々眠気もきつくなったのか飲むペースも遅くなり、酒豪で酒に強い新羅はもうそろそろ愚痴系が来るなと感じた。期待に添うかのように臨也が新羅に「君さ、俺と付き合って俺と同棲してほんとによかったの?」と摘まみを口に運びながら呂律の回っていない口調でそう言うと、「いいから同棲したんでしょ」という言葉で臨也は笑みを見せながら「いちゃつくんじゃねえよバカップル」と門田が悪態を吐くと「別にいちゃいちゃなんてしてませんー!バカップルは認めるけど」「頭の賢いバカップルね」「矛盾だらけだな!」と門田は声を荒げた。数十分後門田がトイレに行く時に「静雄はトイレ行ったまま・・・」「俺、結構前から一緒に・・・居たぜ」「ごめん水注いでくるわ」と門田が立ちあがった。
午前四時になると臨也の部屋は散らかったまま四人は寝息を立てていた。
昼に臨也が目覚めると、三人は爆睡状態で部屋は目も当てられない惨状だった。臨也は気が遠くなるように感じながら起こさない様に静かに歩いて行く。飲み過ぎたせいか頭が痛い。臨也は冷蔵庫を開けてお茶を飲み、部屋に戻って片付けをし始めた。数分経ち片付けの音で目が覚めたのか、新羅は起きる。綺麗とは言い難い部屋に新羅は溜息を吐くとリビングへ向かった。「おはよう臨也」「おはよう新羅」「・・・結構片付けたんだね」「まあね。あの二人が起きないとそれ以上は出来ないからここに居たんだけど」「ふーん。トイレ行くね」臨也が新羅を待ちながら煙草をふかしていると、新羅が臨也の横に座って凭れかかった。「甘えたさんだねぇ」「煩いよ」顔を緩める臨也を睨みながら、クッションを抱き締める新羅の腰に手を回した。「触り方が卑猥なんだけど、あ、ちょ変なとこ触らないで」新羅が嫌々と首を振る中で新羅の反応が堪らないのか触るのを止めない。「ちょ、止めてこそばいから――――――止めろって言ってるでしょ!」持っていたクッションで臨也の顔を叩いた。新羅は気を取り直してソファから立ち上がると「コーヒー飲む?」と尋ねると、クッションを抱えた臨也が「飲む」と答えた。新羅が台所立ちお湯を沸かせようと水をポッドに注いだ時、臨也が後ろから新羅を抱き締める。「やりにくいんだけど」「充電~」「あのねえ・・・」そんな新婚の様な遣り取りを臨也の部屋に一番近い台所で繰り広げる二人に、門田と静雄は起きるタイミングを見計らっていた。
「いつ起きるか・・・」「もう無理な気がしてんだけど」「もう一回寝るか」「おう寝よう」
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