[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
不謹慎だ。佐助は嘆いた。全く以て理不尽でそれで何とも言えないこの感情は、怒り面で途轍もなく発揮せざるに終えない。目の前の男を殴ってやりたい。純粋な怒りは黒髪の眼帯をした男――――伊達政宗の方へ向けられた。あんなにも自分」は他の男とつるむなよと言ってきたのに散々だ!
俺と政宗は恋人関係に他ならない。最も、政宗の方はそう思って無いかもしれないが一般的に恋人関係なのだ。しかし政宗は俺に落ち着く前はとっかえひっかえの遊び人だった訳で、ここ最近何も無かったのにまぁそうそうそれが無くなる事はなく、彼氏である俺は唇を噛み締めのは日常茶飯事だしそれ以外に何もないったらありゃしない。
政宗が魅力的なの当たり前。そのサラサラした黒髪や少し釣り目がちの目とか、男にしちゃ細すぎる身体の線とか何から何まで魅力的だ。でも彼氏が居る前で他の男連れこんで話したり酷い時には抱きついてる様子はね、流石の俺様もキレちゃうわけ。引っぱたくのも出来るけどさ、俺耐えられないわけよ。今まで耐えて来たものが全部爆発したのにやるせない行き場の無い怒りが沸点から冷めてしまって。と言う訳で、政宗がそうするように俺も遊んでやろうって考えに落ち着いたんだよね今さっき。仕方ないよね。まぁ政宗と違う所と言えば俺が遊ぶのは女ってことなんだけど。
女が俺の腕に絡んできた時に、むわっとするような香水の匂いに眉を潜めた。政宗の匂いとは違い鼻に来るような濃い香水の匂いは相変わらず慣れない。
――――政宗との出会いは俺が大学院生だった頃だった。俺は過信しているが頭も程々に良いし顔とルックスはピカイチだと思っている。政宗と、出会うまでは。ああ、これが本当の美形だって思い知らされたね。偶然同じクラスにしてくださった校長に一生の感謝を覚えて、俺は勇気を振り絞って話しかけてみた。まぁ話しやすい事話しやすい事。でまぁ仲良くなってふと、本当にたまたま考えた。政宗の周りには、何時も男がいる。それは色々な種類の男であるし、共通点は皆顔がいいってことくらい。流石に俺の命を捧げるであろう坊ちゃんと一緒に居た時は眩暈すら覚えたけども。まぁね、誰かと一緒に居るたびに胸がちくちく痛んで徐々に理解していったんだ。俺、政宗の事が好きだってね。独占したいとも思った。・・・・・で、今がこの有様だ。
「ねぇ、佐助くぅ~ん」
「んー?何お姉さん」
「もぉー、聞いてなかったのぉ?」
変に語尾を伸ばす女にちょっとした苛立ちを覚えつつ、ゆっくりと俺は隣の女に口づけた。咄嗟の事に訳が分からなくなった女性は当然のように腕を絡めてくる。女はいい、と頭に思い浮かんだ。男のように力が有るわけでもなく当たり前のように俺の動きを認める。俺もノリに乗っていたときに、ガタンと物が落ちる音がした。音の主は言わずもがな―――――買い物袋を落とした政宗である。ただ今はケンカしている最中で俺は政宗から視線を外し女に戻す。女も同様に俺に視線を戻した。俗に言う存在しないもののように政宗を見るので、政宗は拳を握りしめたことは理解できた。俺もね、俺自身浅はかだと思ってるよ。でもね流石に見るに堪えないのああいう状況で恋人が居ることがね。だから俺は女と居るし、それが腹いせだとも思った。恋人にする感情ではないがざまあみろと心で俺は喜びをあげる。
涙を、見てからは?
綺麗な顔で綺麗な涙が政宗の頬を伝った。あれ、俺何をしてるんだっけ?何がしたいんだっけ?政宗は何で泣いてるんだ?泣きたいのは俺の方なのに。
「まさ、むね」
言葉が漏れた。政宗は涙をぽろぽろと流しながら玄関に走り去ってゆく。俺は女を引きはがすとごめん勝手に帰ってくれと言って俺は政宗を追いかけた。何で泣いたのかは分からない。けどちらりと玄関近くで見えた時カレンダーに俺の誕生日がでかでかと丸で囲まれていて、やっと俺は政宗の意図に気付く。
俺は走って走って政宗を無我夢中で追いかける。陸上選手もびっくりなくらいの速さで俺は政宗を追いかける。汗だくになりながら政宗を前に振りおろさんとする手を掴んだ。
「ごめん、政宗、ごめん」
俺が悪かった、俺の誕生日祝おうとして、いろんな人に相談してたんだよね。
話していたのはそれだし抱きついたのは良い案だから身体が勝手に動いたんだろ?抱きつくのは前からの癖だったもんな。
分からず屋の彼氏でごめん。
だから泣きやんでよ、政宗。
愛情表現なんて、もってのほか
≪ ろちとイザ | | HOME | | リーマン ≫ |