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※如月の受け子を会話させるだけの話です
「―――――いやさ、有り余るくらい愛情と言う奴を俺はあげている訳なんですよ」
包帯で顔の半分を隠された男は目の前の黒いVネックシャツを着ている男に向かって荒々しげに言い放つ。包帯で顔を隠されている男――――六条千景は拳を握りしめながら言った。正し反対の男はへぇそおなんだふーんと興味が皆無だということは、千景でも分かる事だったのだがそれでも日ごろの鬱憤と言うのを話しておきたかった。
千景は女性が大好きだ。女性は天使である。だが、自分が恋心を抱いている相手と言うのは大好きな女性ではなく自分と同性の男であった。何故好きになったのかは分からないがそれでも一緒居るのはこの上ない幸せを感じている。しかし、相手は千景の気持ちを知っていて何もやらない奥手かそれとも気持ちを知らない鈍感男なのかどっちかである。千景はそんな相手にむずむずと苛立ちを募らせていた。
千景の相談相手と言うのは目の前の男―――折原臨也である。最初こそ仲間の事でぶん殴りたい男であったのだが今は良き相談相手として臨也は必要だった。相談相手と言っても臨也に散々の愚痴を吐いて出て行くようなものだ。臨也も同性愛者であり自分とは凄く気が合う。しかし臨也とその恋人は千景のように青春など送っていない関係で酷い時にはお互い殴り殴られで過ごしている。相手が優しくしてきたらそれはもう世界が終わりを告げる音と変わらないとも言った臨也の表情は憎悪で彩られていた。千景が頬を染めて惚気る中臨也は眉を顰めながらデスクと向き合っていた。
「なぁ聞いてる!?」
「あーはい聞いてる聞いてる。それでドタチンがなんだって?」
臨也が聞き返すと満足したように千景は無意識に惚気てくる。臨也は対して返答をしないままプリントに目を通していた。
門田京平。千景が恋する思い人である。門田は自分の恋に疎く千景を友達としてしか見ていない鈍感男であった。周りの狩沢であり遊馬崎であり渡草はとっくに気付いていると言うのに門田だけは気付かない。毎度毎度健気にアピールしてもその努力は無駄と感じる程にぶチンである。そんな門田に腹を立てては自分で落ち込み臨也の所に来ては愚痴を吐く。日課と言っていいほどだ。
平和島静雄。臨也が大嫌いな男である。自分を好きだと言っときながら進展をしようとして出来ない奥手野郎だ。しかし臨也が進展を望んでいると言えば、それは嘘になる。臨也は静雄が嫌いだ。付き合ってもまだ憎悪は存在しているため、望んでいない。そんな事になれば自分は大量の薬を飲んで死んでやる。そこまで臨也は静雄が嫌いであった。
「お前らはいーよなぁ、ラブラブで」
「はぁ?何言ってんのマジ死ね。俺とシズちゃんの何処をどう見てラブラブなんて言えるわけ?」
「全部?」
「死ね」
「いやさぁー、俺は片思いだけどね?お前らは違うわけじゃん」
「両想いでもないけどね」
その言葉に少し沈黙した千景であったが、気を取り直して顔を上げた。
「・・・・あ。そうだ、いい事思いついた!」
千景の言葉に臨也は少しの不安を抱きつつ訝しげに見る。自分の膨大な不安が拡大する中ですうと流れる冷や汗とともに、千景は自分の感情をぶちまけた。
「じゃあさ、お互いの相手に告ろうぜ!」
「・・・・・は?」
千景の言葉じゃ理解できないと考えた臨也は紙とペンを取り出し、紙の端に日本語でよろしくと書いた紙を渡す。――――千景の提案と言うのは、例を言えば臨也が門田に告白し反応を見て次は静雄に千景が告白すると言う物であった。千景なりの悪戯心なのだが、反論をしようとする臨也の言葉を遮り千景じゃあ後でと合図を送り臨也の家から飛び出していく。飛んだ嵐が来たものだが、これから厭な予感と言うものが背筋を通り過ぎた。遅かれ早かれ大変な事になるとは目に見えて臨也はソファに座り頭を抱える。
「お前は兎も角俺はシズちゃんなんだぞ・・・」
その言葉は虚空を木霊し静かに消えて行く。もし静雄や門田が告白をOKしてしまったらと考えると身震いが臨也を襲う結果となった。
理不尽トーク
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