忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

拍手

・シズイザ
・臨新
・ラドクレ

妄言に拳銃

静雄はソファに横になってマグカップに注がれた甘いコーヒーを飲みながら、ぐるぐると手に持っていたコーヒーを掻き混ぜた後のスプーンを回している。「ぎゃあ」と後ろでまだ手のつけていないブラックコーヒーを持った臨也が振り回しているスプーンを見つめて、静雄の頭を空いた手で殴った。コーヒーを掻き混ぜた後のスプーンなので付着していた水滴が、カタログを見て買った高級のソファーに沁みが出来ている。臨也に殴られた静雄は頭を摩りながら、「ってえな」と言いながらコーヒーを透明のガラスに張られた机に置いた。「自分がしておいて!」と言いながら静雄を立たせて洗面器の方にあるタオルを取りに行かせ、ソファの沁みを見て憎たらしいといった表情をした。臨也はブラックのコーヒーを啜って「シズちゃんさあ、何で車の雑誌見てたの?」とタオルを持ってきた静雄が少し固まって、「あー・・・欲しいから」と雑誌を取り上げてソファの上にタオルを置いた。臨也は静雄を訝しげに睨んで、欲しい車に丸が付けられているのを見てその発売日に目を凝らす。「あ」確かこの誕生日は自分のだ。そうしてどんどん赤くなる顔を隠しながら横にいる静雄に、「うそつき」と言った。静雄は目を見開いて、照れたよう顔を逸らした。ばれたか、とソファの沁みを拭き取って呟いた。


ジェラシイを愛と呼んだ

幼ない新羅の目に飛び込んでくるのは、憂鬱に似た光景だった。玩具を持った小さな手が震えて唇は見っとも無くぶるぶると震える。こわい、と大きな目を見開いたままその様子を見つめた。新羅の宝物である玩具をがしゃがしゃと機械の様に同じタイミングで踏み潰すのは、昨日あんなに笑顔で長い事遊んでくれた隣の青年だ。「あ、あ、」友人から貰った玩具が破片を散ばしているという喪失感と怒りに言葉が出ず、ただ踏み潰される玩具と踏み潰している隣の青年を交互に見る。新羅は急いでお兄さん足を持って精一杯やめてやめてと懇願した。お兄さんは新羅を抱きあげて、先程まで冷たかった瞳が柔らかく細められ、愛おしそうに力を強めた。「いや、いたい、おにいちゃん、いたいよ」大きな瞳を潤ませている新羅に微笑みながら、「静雄くんだっけ、新羅に玩具あげたの」抱きかかえられている脇の痛みに新羅は身をよじらせて、必死に頷くと無気力の様に顔に表情を出さず「そっかあ」と新羅をソファに置くと「前も言ってたねぇ、色鉛筆も貰ったんだって?」机に置かれた新羅の色鉛筆を開け一本手に取ると、新羅の目の前でそれを真っ二つに折った。新羅は涙を溜めて床に落とされた色鉛筆を見る。「やだ、おにいちゃん、どうして」「・・・どうして?」青年は新羅を抱えてその頭を撫でながら恐怖で震える新羅に笑い掛ける。「だって、新羅は俺のものだろう?」新羅はその言葉が理解できず顔を傾けると、青年は残酷なほど優しい手付きでソファに新羅を寝かせて、その小さい手足に爪を立てる。「いだいっっ、おにいちゃん、や、いたいやめていたいよぉっ臨也お兄ちゃんっ!」臨也は自分の名前を呼ばれて「いい子いい子」と言いながら、自分に怯える新羅の口を塞いで新羅のシャツを捲り上げて薄いその身体に、先程壊した玩具の破片をゆっくりと押し付ける。新羅はその痛みに耐えられないのか大声を上げて一粒の大きい涙を流しす。血が白い肌をつたい臨也は新羅の口を押さえて、恍惚の表情をしながら爽やかな声色で新羅の耳元で囁く声色はいつもの優しい隣の青年だ。「新羅はかわいいね」


スウィーティ、殺したいきみへ

(味気ないな)とクレアは首を鳴らしながら自分にナイフを向けていた男を捻り潰して、気まずそうに出されていた魚を一口摘まんで今だ床に伏せている男の頭をつつく。「起きろラッド、寝ている振りなどらしくないぞ」と言うと顔に青筋を立てながら手に持っていたナイフを強く握って「何処に料理している恋人と敵を間違えて攻撃する奴がいるかよ!!!!!」と、勢いよく立ちあがったラッドにクレアはおおと小さな感嘆を漏らすと「だって包丁を持ちながら凄い速さで近づくのが悪い」と口を膨らませた。「可愛くねえかんな」と言うと先程まで膨らませていた口を平たくして、「まあその、あんまり怒るなよダーリン」と言うとラッドは頭を抱えた。「あとラッド、今日はお前が料理担当だが・・・その・・・」「なんだはっきり言え」「・・・・・まずい」「ああ!?」ラッドはクレアの胸倉を掴んで手に持っていたナイフを刺そうかと本気で考えた時、至近距離だった顔の位置がもっと近くなっていくのを分かってラッドは目を見開いた。「ラッドは不器用だな」と言ったクレアの眉を下げた顔を見て、ラッドは取り敢えず自分のエプロンの結び目に手を掛けて解くと、クレアの後頭部を抑えて噛みつく様なキスをした。クレアはソファに押されていく身体を感じながら、はぁ、と息を吐き出した。

(・・・あまい)


溶解する池の氷

PR

Comment

お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

Trackback

この記事にトラックバックする:

Copyright © 小説用 : All rights reserved

「小説用」に掲載されている文章・画像・その他すべての無断転載・無断掲載を禁止します。

TemplateDesign by KARMA7
忍者ブログ [PR]