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静雄は全身黒に染められた男を見て「焼け焦げればいいのに」と呟いた。中学校の時理科の授業で黒い紙とレンズを用意してそのレンズに光を通し紙を焼くという実験があった。勿論その頃は臨也に出会っていなかったから真面目に等取り組まなかったけれど。静雄は臨也ではなく周りをきょろきょろと見つめ、すぐさま中古販売の店に行き数分で買って来た虫眼鏡を持って、先程自分の存在に気がつかなかった臨也に向かって走り出した。片手に持った虫眼鏡を壊さぬよう力を緩めて、見開いた目に向けて虫眼鏡を被せた。光はレンズの向こう側の臨也に届いたが、どうもその瞳は焼けそうにない。虫眼鏡を遠ざけて引き攣った顔をしている臨也の瞳を覗きこんだ。そうして脱力した静雄は臨也を一発軽く殴ると、「てめえは目は茶色なんだな」と悔しそうに呟いた。臨也は先程された事を思い出してまた大きな目を開いて静雄を殴る。「人の目焼こうとしてんなよ」一歩間違えれば自分の瞳は煙を立てて二度と景色を見れなくなる所だったというのに。臨也はもう一度恋人である静雄の身体を殴ると、手に持っていた虫眼鏡を取り上げる。「なにすんだ」「こっちの台詞だよ」と他愛も無い会話をしながら「恋人の目焼こうとかするのなんなの死ねば」「うっせえな実験だよ昔しなかったから」ふうんと臨也は鼻を鳴らして欠伸をしながら静雄に覆いかぶさった。
「・・・ああ、君の目は黒なんだね」と愉快そうに笑う臨也に静雄はついて行けず小首を傾げて、あ、と呟いた。目の前には自分が買った虫眼鏡があったのだ。光が反射している。
「残念、避けられた」と臨也は目を瞑った静雄に歯を見せて笑って、えらいもんを恋人にしたなと静雄はポケット
から煙草を取った。酷く心臓が鳴っている。何時になく緊張を覚える体に臨也はけらけらと笑いニコチン信者がと口に出して笑い口に加えられた煙草を払って「俺の服が臭うでしょ」と真顔で言って、ああすまんと謝りながら煙草をポケットに閉まった。
臨也はにこにこと笑いながら、恋人である静雄の脇腹に思いっきりナイフを突き刺した。服を裂いたが肉には入る事は出来ず臨也は溜息を吐いて、「まあ一応これが太陽に愛される黒を馬鹿にした罰ね」と言葉を放った。
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