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シズイザ 職業シリーズ


お客様ですか、案内します。そう告げた男は見るからにも日本人だと分かる黒髪黒目で、整い過ぎたような顔は少なからず自分を魅入らせた。笑顔を振りまく好青年は周りの女性を魅了し、透き通る青空のような平均男性よりも少し高めで美しい音を奏でる声は聞いたことがなかった。造形美と言う言葉がよく似合うそんな男は頬笑みを隠さないまま、右手を横に翳す。男はこれでもかと言うほど丁寧に「どうぞ、こちらへ」とお辞儀をしながら自分を案内した。全ての動作が完璧でまるで人形のように見える。冷酷過ぎるほどの美しさは少々不気味に思えたがそれ以上は考えないことにしよう。
「ご注文がお決まり次第、そのベルで鳴らしてください。では、失礼します」
その言葉に改まって一礼すると、立て掛けているメニューを取り出した。
店にはジャズの音楽が流れており有名な「Night And Day」という曲は気持ちを落ち着かせた。店は少し古風で円状型の丸いテーブルが並べられており、カウンターは窓側にと大き目のレストランだ。木で造られた店には壁の一角にワインが置いており外国を感じさせる。食べる音だけが店に響きゆっくりとした時間が訪れたようだった。ベルと言っても押すものではなく上の柱頭を掴み一回横に振るだけで、カランと高い音がなる珍しい呼び方をする店の工夫に感心しながらも置かれた水を一口口に含んだ。
 

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