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「いいかいシズちゃんドタチン。新羅とのロマンティック!な出来事を語るとしたら、多分両手じゃ数え切れない!」
臨也はそれはもう盛大に声を荒げて、課題に向かっている静雄と門田に大きな手振りをしながら言った。静雄はとてもじゃないが頭に苦痛を感じ、門田も胃が痛みだしていた。「・・・へえ」出来る限り話を終わらせようと簡単に返事をして課題に向き合う為教科書を見つめると、臨也はそれを知らんぷりの様に離し始めた。
「まずじゃあ第3位!新羅と俺が春の休みに実家に帰る事になって三日くらい経ったときに、もう真夜中なのに新羅から電話が掛かって来て『さびしい』って言ったの!!!わかる?新羅が!俺に!甘えて来たんだよ!?まじその時にさあ俺会いに行こうと思ったもん。そんでね、お前と一緒にいないと寂しいよ、って猫撫での声で!もうね、俺あの時なら多分新羅の実家に行ってたね!」
ふふんと威張るような臨也に静雄は「いや、始発とかねえししかもお前の実家から新羅の実家まで何県はしごすんだよ」と冷静に返すと、臨也は筆箱で静雄を叩き机の上に置かれたオレンジジュースを喉に流し込んで分かってないねと鼻で笑うと、今度は静雄が教材で臨也の頭を叩いた。
「じゃあ次、第2位!俺と新羅っていっつも別々の部屋に寝てるんだけど、夏になると俺の部屋しかクーラーがないから、新羅は度々俺の部屋で寝るんだけどね。で、最近かな?その時に新羅がYシャツだけで俺の所に着たんだよね。寝ぼけて部屋着と間違えたんだろうねぇ、もうそれで俺むらむらきちゃって。それで新羅に飛びかかろうとしたら何て言ったと思うかい。『暑いから僕に近寄らないで』って、もうたまんないんだよこのギャップって言うの?」
「てめえドMかよ!そんでYシャツにギャップも糞もあるわけねえだろ!」と静雄が買って来た紅茶を臨也の顔に投げつけて、それに怒った臨也は静雄に向かって投げ始め二人は喧嘩状態になっているが、それでも門田は課題に向かってペンを滑らせ時折溜息を吐く。「はぁ、そんで?第1位はなんだんだよ」呆れ状態になっているが、語り出した臨也は必要以上に饒舌であり集中して聞いていてもらちが明かないのだ。
「おっ、聞きたい?仕方ないね!・・・第1位!俺と新羅が前に二人で学食行った時に、明らかに俺等の関係を知らない女生徒が近づいてきて、明らかに俺に気があるのね。んで、別にただの憧れっぽい感じでその女子が握手を求めて来たから、返そうと俺も手を出した時にさァ、俺の手を掴んで行き成り走り出したの。そんで突きあたりまで行ったときに、顔を滅茶苦茶赤くして本気で恥ずかしそうにしながら、『僕は臨也が好きだけど、君のそんな所は好きじゃない』って。そして俺が何がそんなに気に食わないのさ、って聞くとそれこそ目に涙溜めてさ、『君は僕の恋人だろ』、そう言って。要するにつまりそれってヤキモチな訳。で、『僕を不安に、させないで』ってきゃああああああって、まじきゅんきゅんしてさぁ、この学園のマドンナより可愛いんですけど俺の嫁」
「はいはい惚気乙リア充大爆発しろ」静雄の暴言と共に臨也は大層すっきりした面持ちだが、にまにまとするのを自重せず課題レポートに手を付け始めた。
「可愛くない?俺の嫁。この前だってさぁ」
「臨也」
「何!?いまからいい所なんだけど!」
「臨也、後ろ」
門田が呆れながら臨也の背後の扉を指差して、ゆっくりと臨也は後ろを向いた。顔を真っ赤にして歯を噛み締めながら臨也の上にとてもじゃないが穏やかではない辞書を、思い切り振りおろした。
「この馬鹿!馬鹿でしょ、君ほんと、ばか!?」
「や、頭いいけどっ痛っ、まじいっ、たッ!いっ―――たい!」
臨也はそのまま新羅の腕を引っ張ると勢い良く顔を近づけ、覆い被さるようになった新羅に口付けをした。片方の手でちゃんと新羅の後頭部を抑えながら、引き剥がせないように何度か角度を変えてしていると、新羅は異論意味で顔を赤くしており、口付けの余韻に絆されていく。ちなみにその光景を見ている二人は、大層目を見開いて鳥肌を立たせてから互いの顔を見て呟いた。
「「まじ倦怠期どこだよ・・・」」
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