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自己主張の激しい色々な種類のある機械の中に、隅の方に一つだけ哀愁の様なものを放っているそれがあった。周りの売れている機械があるというのに、それは他の艶やかなパッケージとは程遠いものだった。悪く言うならば寒色過ぎる、よく言うならばシンプルで俺はゆっくりとそれを手に取った。新品とは言い難いそれを気に入り電機屋の店頭に持っていくと、物珍しそうな顔をしている店員がそれを手に取り安堵をした表情になっている。「それ、もう開発されてない奴なんですよ」そう言った壮年の店員に「そんなに、人気ないんですか」と聞くと店員は一度目を見開いて微笑んだ。「逆ですよ、生産がされてないんです。その機械の開発は最初の試作品として作られたんです。最初だから扱いも難しいですしどんどんそれを売る人が多くなって来て、今ではもう数少ない『幻』の作品になっているんです」「そんなものが、どうしてここに?」「それは・・・、私が好きだったんです。その開発担当者が私の父でね、扱いが難しいから出来ないと言ったバッシングをちゃんと受け止めて。もう他界しているんですが、それを店に置いておくのが使命だと思って、そして今日貴方が買ってくれた。父も私も喜んでいます」そう言った店員に見送られながら都会の一角である電機屋を出て、俺は歩き出した。
家に帰るとまず
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