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臨也と新羅には共通する点が存在していた。それは、言わばバイセクシャルと言う嗜好だった。恋愛をするなら男でも女でも別に対して変わりは無く、恋をしたのならそれでいいと思っていた。だからこそ二人はその場の要求に答えてキスも出来たしそれ以上も出来た。それはまだ青い高校生の頃でまだそこには愛と言う感情は芽生えてすらいない。そんな二人が、大学に入学してからの話。
仲の良い友人たちと飲み会をする事になって、俺達は率先して輪に入る事は無かったが無理やり連れて来られたに近い状態で、肉汁が溢れ出る焼肉を頬張っては美味しそうに味を噛み締める。大学生になってからはこういう会が多くなって、それほど嫌いでもない俺はその場に居座っていた。
今回も、俺はゲームに無理やり参加され嫌々くじを引いた。男だけのむさい空間での王様ゲームだったので乗り気はせず王様はあまり知らない、知人の知人が当たった。王様と呼ばれ鼻を高くする男は2番と6番がちゅー!と勢い良く声を荒げた。自分の手元には6番と書かれていて、横の幼馴染には2番と書かれていた。当たったやつ手ぇ上げろーと言われたので渋々上げると、驚いたようにこっちを見つめる。酔っ払いの男共は手を叩きながらキス!キス!と連呼している。俺は新羅を見ると「する?」「僕は別にいいよ」「じゃあ・・・」なんて軽いノリで、新羅の後頭部を掴み噛みつくようなキスをした。群衆はホモだー!なんて騒ぎながら拍手をした。門田からは「せめて目え瞑れよ」と言われたが、それこそ気持ち悪いだろうと思い新羅から口を放した。群衆の男共は付き合えよ!なんて軽々しく言うので、俺は新羅の方を見て「付き合っちゃう?」「僕は良いよ、付き合おっか」なんてまた軽いノリで、付き合う事に決定した。またホモだー!と叫びながら笑う下戸共を見て、焦げそうな焼肉をタレに付けた。
新羅はソファに座りながら机に置かれたコップの炭酸を流し込んで、「僕達ってさ一応恋人なんだよね?」と問い掛けて来たので「そうなんだろ、多分」と答えて会話は終了した。俺は対して興味も無いのでテレビに集中していると「普通は恋人に欲情とか色欲な目すると思うんだけど。それとも君は下なの?どっちでもいいけど」と机にコップを置く。「はぁ?俺が下とか意味分かんない。どう考えたら俺が下とかになるのさ」「じゃあ僕が上なんだ。てっきり僕は君を抱くのかと思ってたけど。というか、」新羅が言い掛けた所で俺も息を吸い「俺(僕)らってホモなの?」と互い問い掛けた。
「あれ、君のその後ろの子って」僕は臨也の後ろにいる髪の長い女の人に小首を傾げた。「ああ、彼女」なんて答えるものだからふうんこれで終わりかあなんて思って素っ気無く「あっそうなんだ」と返して去っていく。なんかもやもやがあるな。まあいいか。「おい新羅、お前どうしたんだ?」金髪の背の高い男が心配そうに覗きこむ。「?どうしたも別にないけど?」「はあ?お前、泣いてんじゃねえか。どこか痛いのかよ」泣いてる?そんな馬鹿な。「あっ、・・・うっく」堪え切れなくなって僕はその場に崩れ込んだ。嘘だ。僕があの子に嫉妬しているなんて。
シズちゃんというなの外敵が昼過ぎにこちらへ向かって、猪の様な猪突猛進っぷりで俺の裾を掴んだ。「った!何すんのさ、死ねば?」「ってめえ、新羅に何しやがったんだ」「はぁ?」俺はあからさまに呆れた様な顔でシズちゃんを捉えると、シズちゃんはバ怪力な程の卑怯な力で俺を一発殴った。「!!!、何、すっ」「手前が泣かせたんだろうが!」そう言ってその場を立ち去って行く。何なんだよ、もう。あれ、泣く?どういうこと。そう思った時俺は女の人を置いて廊下を走り出していた。
廊下の隅、一番階段に近い所で新羅は蹲っていた。臨也はじんじんと痛む頬を抑えながら足を抱えて肩を震わす新羅を愛おしそうに見つめる。「っあ、・・臨也」「新羅、ごめん。俺分かって無かった。ごめんね」そう臨也は言いながら、新羅を抱き締める。臨也と新羅はやっと二人が恋人同士でその間に愛があることを理解した。
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