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「お前は実に馬鹿だな」
等と言ったので、三成はぎりと歯を食い縛って、艶のある黒髪を揺らす政宗を睥睨する。まるで言葉に反論するかのようにきつく睨んだので、政宗はまいった、と言うように肩を竦めた。
三成は直ぐに視線を反らし一点を見詰める。政宗はそれを視線で追いながら、救えない奴だと思った。三成は、ある日を境にまるで狂ったように、襖の奥に閉じ籠った。筋肉はあるが細い腕を、まるで骨に皮膚がついたようにしたのは、紛れもなくこいつ自身だ。(それが報いになる訳ではないのに)政宗はそう思いながら、木の壁に腕組みをして凭れかかる。
「早々に出て行け。貴様が居ては気が散る」
(それは、この部屋が愛の巣であるから?)政宗は苦笑した。鼻に付く腐臭、蛆が飛び出ているそれは、もう形を留めていない。在るのは毛くらいだろうか。
三成はそれを盲目的に、じいと見詰める。政宗はぼりぼりと頭を掻いて、溜息を吐いた。
「石田三成、現実を見ろよ。家康は死んだ」
その箱に入った家康の首も、きっと死んでいるよ。三成はそれさえも聞いていないようだった。家康が死んでから六年経っているというのに。
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